洗濯物の部屋干しが乾かず生乾きの臭いがする原因と対策方法
目次
部屋干し人口が増えている背景
部屋干しと言えば外で洗濯物を干すことが難しい梅雨や雨天にする機会が多い印象ですが、昨今は大気中の花粉や黄砂・PM2.5が洗濯物に付着する懸念から、そもそも外に洗濯物を干せない生活をする家庭が増加しています。または共働き世帯が増えて、日中は仕事に追われて洗濯物を外に干す時間が確保できないために帰宅後、室内干しをするというパターンも増えています。しかし、部屋干しをする上で一番の懸念事項が、うまく洗濯物が乾かないことによる生乾きの臭いでしょう。本ブログでは部屋干しによって生じる生乾きの臭いの原因とその対策について解説していきます。
関連ページはこちら
部屋干しで乾かないと生乾き臭がする原因とは
ニオイの原因は雑菌の排泄物
部屋干しの臭いの主な原因は、実は洗濯物についたモラクセラ菌という雑菌が繁殖することにあります。このモラクセラ菌という菌自体は人の中にいる常在菌で普段は無臭なのですが、この菌が「皮脂」や「汗」、「洗剤の残りカス」を栄養にして増殖する際に雑巾のような嫌な臭いを発します。これが部屋干しの「生乾き臭」の正体なのです。
菌が繁殖する具体的なシチュエーション
部屋干しで菌が増殖する典型的な場面には以下があります:
-
湿気が多く乾くまでに時間がかかっている
長時間湿気ている状況が続くと先の雑菌が増殖して嫌な臭いを発します。また、洗濯前に濡れたタオルや雨に濡れた衣類を長時間放置することでも生乾きの嫌な臭いが発生します。
-
洗濯槽や洗濯機のカビや汚れが衣類に付着している
洗濯槽のメンテナンスが十分に行き届いていない場合、先の雑巾のようなにおいとは別に洗濯槽のカビの臭いがしみついたり、洗濯槽の汚れを養分に雑菌が繁殖することがあります。
-
洗濯物のすすぎが不十分で、「皮脂」や「汗」が生地に残っている
生乾きのニオイを防ぐ第一歩は雑菌の養分となるものをきちんと除去することから始まります。
-
一度に大量の洗濯物を干した結果、洗濯物同士が密集して風通しが悪くなっている
部屋干しをしていても洗濯物同士が密集しすぎているとうまく乾かず湿気た状況が続くのでにおいの原因となります。
-
カーテンレールにかけて壁と近いため風通しが悪くなっている
衣類が壁やカーテンと近いと空気の通りが悪くなり、湿気がうまく抜けなくなり、乾く前に雑菌が繁殖してしまいます。
部屋干しで早く乾かす三大条件
生乾き予防の目安は5時間以内
生乾きの臭いが発生する状況に共通するのは、洗濯物は濡れた状態が長時間続いているということです。洗濯物の乾燥時間を短くすることで菌が繁殖して、生乾き臭が発生するのを抑制することが出来ます。そのためには洗濯物が短時間で乾くための3つのポイントを押さえておきましょう。
三大条件は【温度】、【湿度】、【空気の循環】
洗濯物が乾くのに必要な三大要素は「温度」、「湿度」、「空気の循環」となります。
以下にそれぞれの要素について詳しく説明します。
1.温度: 温度が低すぎると乾きにくいため、「高温」に保つことが重要です。
小学校の理科の授業で勉強する内容に「空気の飽和水蒸気量」というものがあります。空気をコップに例えたときにその空気が空気中に蓄えることのできる水蒸気量は温度が高くなればなるほど大きくなります。逆に温度が低いとその空気が空気中に蓄えることのできる水蒸気量は小さくなり、あふれた分は結露という形で水滴となります。部屋干しする際は温度を高くすることで空気中に蓄えることのできる水蒸気量が増えるため、洗濯物は乾きやすくなります。目安としては25℃以上が良いでしょう。寒くて日射のない日に洗濯物を外で干してもなかなか乾かないのは気温が低いことが原因です。
2.湿度: 室内の湿度を除湿機やエアコンで調節し、乾燥状態を保ちます。相対湿度60%以下が良いとされています。
先ほどの飽和水蒸気量の話に戻すと、相対湿度が低いということは空気の中に水蒸気量を蓄えることのできるコップの容量に余裕があるということです。通常、洗濯物を部屋干ししている状況だと相対湿度が徐々に上がっていき、洗濯物の乾くスピードは徐々に下がっていきます。洗濯物を干している間は相対湿度が上がり過ぎないように、①温度をあげる、②換気をする、③除湿機能のある家電を使用する、といった工夫をすることが重要となります。
3.空気の循環: 扇風機やサーキュレーターを活用して、洗濯物の周囲の空気を動かすのが効果的です。
洗濯物周りの風通しをよくすることによってより効率よく湿気を排出できるようになります。そのためにも洗濯物同士は最低でも5cmくらい開けた方がいいと言われています。風を当てる際は洗濯物同士のすきまを風が通るようなイメージでサーキュレーターや扇風機を設置すると良いでしょう。
補足:冬は室内干しの方が実は洗濯物が乾きやすい?
冬場は晴天時の正午前後の時間帯以外では外で洗濯物を干すよりも室内で部屋干しをした方が、室温が暖房などにより外気より温度が高くなる=相対湿度も低くなるため、洗濯物がより乾きやすいです。また冬場の室内干しは加湿器がわりにもなるため、冬場の過乾燥対策のことも考えると一石二鳥と言えます。
生乾き臭を取り除く方法
生乾き臭いはなかなか取り除くことが大変なため、先ずは生乾きの臭いをつけないということが大切です。万が一、生乾き臭がついてしまった際は普通の洗濯をするだけではなかなか取り除くことが出来ず、洗濯するたびに嫌な臭いがまとわりつくようになります。生乾き臭を消臭するためには手間がかかりますが以下の方法を検討してみてください。
1.漂白剤や酸素系の洗剤を使用してしっかり殺菌する
酸素系漂白剤は、一般的な洗剤よりも優れた漂白力と殺菌力を持ち、雑菌の増殖も効果的に抑えることができます。漂白剤には粉末タイプと液体タイプがあり、特に臭いを防ぎたい場合には漂白力の強い粉末タイプが適しています。ただし、粉末タイプは水洗いできない素材(毛や絹、ボタン、ファスナーなど)には使えないため注意が必要です。これらのデリケートな生地を洗う際には、液体タイプの酸素系漂白剤で試してみることをおすすめします。
2.熱いお湯で洗う。(「汗」や「皮脂」も落としやすくなります)
消臭したい衣類が少ない場合は、熱湯を使って除去する方法もあります。臭いが気になる衣類を大きめの鍋に入れ、約40~60度のお湯で煮ます。菌は高温に弱いため、30分から1時間ほど煮沸することで、殺菌と消臭の効果が得られます。特にしつこい臭いが気になる場合は、酸素系漂白剤や洗剤を小さじ1程度加えることで、さらに効果を高めることができます。ただし、アルミ製の鍋は変色する可能性があるため、漂白剤を使用する際はステンレスやホーロー製の鍋を使用した方がよいでしょう。注意しなければいけない点としては、熱湯消毒を行う際は、衣類の洗濯表示を必ず確認することです。熱に弱い素材(ウール、シルク、レーヨン、ナイロン、ポリウレタンなど)は傷みやすいため、この方法は避けてください。また、ニットやジャージなどは生地が縮む恐れがあるため、注意が必要です。
3.乾燥機を活用して高温で仕上げれば生乾きの臭いを予防できる
もし、乾太くんなどのガス式衣類乾燥機や浴室乾燥機があれば雨の日でも、乾燥機の熱風を使うことで雑菌を除去することが可能です。特に洗濯直後の濡れた状態で乾燥機を使用することで、より効果的に臭いを防げると言われています。洗濯後に嫌な臭いが気になった場合は、速やかに乾燥機を使い、殺菌を行うのが良いでしょう。ガス式の衣類乾燥機は衣類に負担をかけることもありますが、低温設定で10分程度の使用なら、衣類へのダメージを最小限に抑えつつ、乾燥効率を上げることができます。この方法は、時間短縮にもつながるためおすすめです。
注意点: 乾燥機を使用する前には、必ず洗濯表示を確認してください。また、乾きやすい素材の衣類を選ぶことで、さらに効率よく乾燥させることができます。
初級編:生乾きを防ぐ部屋干しの仕方
生乾きの臭の取り除き方について説明してきましたが、ガス式衣類乾燥機や浴室乾燥機を使う方法を除くと、基本的に一度ついた生乾き臭を完全に取り除くのはそれなりに手間がかかるので、基本的にはそもそも変な臭いがつかないように予防することが重要となります。部屋干しをする際は以下のような干し方を心がけましょう。ここでは今すぐに簡単に取り組める方法を紹介します。
衣類同士の間隔をあける
洗濯物を干す際は生地が密着しないようにすることで、乾きが早くなり、臭いの発生を防げます。そのためにも一度に大量の衣服をまとめて洗濯するのではなく、こまめに洗濯をしておくのもポイントです。そうすることで限られたスペースでも洗濯物同士のスペースに余裕をもって室内干しすることが出来ます。
エアコンとサーキュレーター(扇風機)の併用
設定を「除湿」にすることで、室内の相対湿度を下げて効率的に部屋干しができます。またこのような家電を使用する時のコツは、風向きに対して平行に風が当たるように洗濯物を干すことです。こうすることで、風が洗濯物の間を通り抜け、より迅速に乾燥させることができるため、生乾きの臭いを防ぐことができます。
洗濯槽の清掃
生乾き臭の元を取り除くためには、洗濯槽の汚れも清掃メンテナンスすることが重要です。洗濯機は水を使用するため、洗濯槽は常に湿気を帯びた状態になりがちです。カビは湿度の高い環境を好むため、洗濯槽はカビが繁殖しやすい場所と言えます。見た目には問題がないように思えても、洗濯槽の奥深くにはカビが繁殖していることがあります。新品の洗濯機でも、洗濯槽にカビが発生することがあるので、定期的な掃除は欠かせません。塩素系や酵素系の洗剤、または重曹を使った掃除が効果的です。自分の生活スタイルに合った方法をみつけるのが良いでしょう。さらに、洗濯後は必ず洗濯槽のフタを開けて、中を乾燥させることを習慣化しましょう。
上級編:ソーラーウォーマーなら電気代ゼロで生乾き対策
今まで説明してきた内容は誰でも実践できる身近な方法となります。しかし、エアコンの除湿機能や乾燥機・除湿器を日常的に使用していると電気代やガス代などの月々のランニングコストがかかるのが気になります。日々のランニングコストを抑えて部屋干し対策をしたい場合はソーラーウォーマーの導入をご検討してみてはいかがでしょうか。ソーラーウォーマーを活用することで無限にある太陽エネルギーをうまく生活に取り込みながら部屋干し対策をができます。
ソーラーウォーマーの特徴
ソーラーウォーマーは、太陽光を利用して室内に「暖かい」空気を取り込み、洗濯物を「乾きやすい」状態にします。使用するのは「太陽エネルギーのみ」のため、電気を使わず、エコでランニングコストを減らしたい人にはオススメの製品です。その基本的な仕組みを以下に説明します。
1. 太陽光を活用した加温効果
- ソーラーウォーマーは、太陽光を受けるパネルを備えています。このパネルは、太陽光の熱エネルギーを吸収し、効率的に外からの新鮮空気を加熱します。
- パネル内部には、空気を通す黒いフェルト層があり、太陽集熱したこの層を空気が通過することで効率よく空気を暖めます。(SV14は吐出し口温度が最大外気温+30℃になります)
2. 換気の仕組み
- パネルで温められた空気は、太陽光発電でパネル内蔵の送風ファンにより室内に送り込まれます。
- 室内に新鮮で乾燥した温かい空気が継続して供給されることにより、徐々に室内の湿気た空気と入れ替わります。
- 特に湿気がこもりやすい部屋(洗濯物を干す部屋や北側の部屋など)に有効で、湿気を低減しながら空気を循環させます。
3. 除湿効果
- ソーラーウォーマーが送り込む空気は外気温を加温しているため低湿度の特徴があります。この乾燥した空気が室内の湿った空気と置き換わることで、室内全体の湿度を下げることができます。その結果、部屋干しの洗濯物の乾燥スピードが向上します。
- 湿気が減少することで、カビやダニの発生リスクが低くなり、「部屋干し臭」の主な原因である雑菌の繁殖を抑制する効果も期待できます。
4. エネルギー効率の良さ
- ソーラーウォーマーは太陽光を直接エネルギー源として利用するため、電気を使用せずに動作します。これにより、ランニングコストがゼロで、環境に優しい点も特徴です。
ソーラーウォーマーの具体的な部屋干し効果
日時:2019年10月5日
天候:晴れときどき曇り
条件:南面にソーラーウォーマーを設置した部屋と何も設置していない部屋でそれぞれ濡れたタオルを15枚干した時の室温、温度、15枚のうち3枚分のタオルの水分量の比較(暖房や除湿器、サーキュレーションの使用はなし。)
この検証から分かることは次の通りです。
・ソーラーウォーマーを使っていない部屋では乾くまでに8時間かかり生乾き臭の目安である5時間を上回っているのに対してソーラーウォーマーを設置している部屋は洗濯物の乾きがかなり早くなった。
・ソーラーウォーマーを設置している部屋はそうでない部屋と比較して相対湿度が最大で約24%下がった。
以上の検証からも分かるソーラーウォーマーを使うメリットをまとめると次の通りとなります。
- 省エネ: 電気代ゼロで運用可能
- 除湿効果: 部屋干し空間に湿気がこもりにくくなります
- 乾燥スピードの向上: 部屋干しの乾きにくさを解消
まとめ
部屋干しの臭いを防ぐためには、洗濯槽のカビ対策や洗剤のすすぎ不足を解消する正しい手順が重要です。また、風呂の残り湯を使う場合も注意が必要です。「ソーラーウォーマー」のような便利なグッズを活用することで、部屋干しの悩みを解消し、効率よく家事を進めることができます。試しに導入して、その効果を実感してみてはいかがでしょうか?